109. インターネットマシーン
by Kyrie

日本語が文字化けするような頃だったので、
私は慣れないインターネットにも苦心しながら、
Yahoo UKのメールアドレスを作り、家族や友達に知らせた。
そこから「ローマ字」でメールを送った。
スマホなんてないし、
携帯電話もわざわざ「国際電話用」を新たに買わねばならなかった。
ローマ字は読みにくかったので、
私はメールチェックをするときには
「声に出して読み上げる」
ことをしなければならなかった。

1ユーロコインを入れると10分間インターネットが使えるマシーンだった。
キーボードの配列も日本とスペインとでは違った。
「アットマーク」がなくて困った。
とにかく多くの人に1度に自分の無事を知らせるには、メールを送るしかなかった。
今ならFacebookやTwitterなどでラクに無事を知らせることができるのだろう。
でも、今でも私の家族はインターネットが使えないから、やっぱりメールかな。
私がスマホを持っていけば、日本語で書けるし。
あとは葉書をやたらと書いた。
帰国して「よくあんなに葉書を書く時間があったね」と言われて、寂しく思った。
私が他の人とコミュニケーションが取れず一人でいることが多かったから、書いていたので。
でも、一方で少しでも「自分の無事」を知らせ、心労を軽減したい、とも思っていたから、
「けっ!」
とも思った。
とにかく10分越えずにメール読んでメール書いて送る!
それに必死になっていた。


Kyrie