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059. ガイドブックがない、ということ

by Kyrie

なだらかな山のラインに沿って、風力発電の風車が並ぶ。



空と緑と黄色い花。



この黄色い花はマメ科の植物らしい。
青い麦も風にたなびいている。

こんな風景とは裏腹に、私はここでくたびれ果てる。

自分が1時間にどれだけ歩けるのか、ざっくりと考えて次のゴールの町を決めていくが、
それがどうやってもうまくいかない。

歩いても歩いても、自分が考えていたようにたどり着けない。

あとで出会った巡礼者は「あの黄色い花はとてもいい匂いがして、
まるで神様が自分の背中を後押しして連れていってくれるようだわ」と
その時の感動を絵に描いていたが、
私はこの花の匂いは「臭い」と思っていたので意外だった。

この日の行程を歩き、アルベルゲに到着して
私は自分がガイドブックを持っていないことで困ったことになっている、というのを初めて思い知る。

それはフランス人のマリが自分の持っているガイドブックを見せてくれたことでわかった。

その日のアルベルゲのベッドを確保した巡礼者が食い入るようにガイドブックを見ている理由。
それは高低差と距離を眺めていたのだ。

このとき、私は1時間に4km歩く、と換算していた。
(慣れてくると5kmくらい歩けた)
しかし、これが上り坂だと違ってくる。
山の中に入ると1時間に3kmと、ぐっと歩ける距離が短くなる。

巡礼者は次の日の行程でどこが一番ハードなのかを見極めながら、先を見据えて歩いていたのだ。

情報のない私は、とにかく「歩く」ことを「平面」でとらえていた。




これ以降、私は少ない情報の中でも高低差の情報を加味して、次の日の計画を立てるようになった。

あとは曜日と買い物の必要性によって、大きな町に到着する日を調整した。

どこの町にもATMはないし、土日は開いていないお店が多い。
大きなスーパーマーケットには欲しいものが簡単にそろっていることが多い。


振り返ると大きな町・パンプローナが見えていた。

ばいばい、パンプローナ。







Kyrie
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